鎖肛

鎖肛、わかりやすく言葉を変えると ”閉鎖肛門”です。
生まれつき肛門が閉鎖していて、排便ができない状態です。


この子は生まれてからまだ一度も便をしていません。
なので、おなかがパンパン。


真ん中の点みたいなのが、本来肛門があるべき場所です。
肛門の穴が完全に閉鎖しており、便が直腸内で停滞しています。



で、手術をして肛門をがばっと開けます。
これだけ大きく開けてもすぐにまた塞がってしまうことも多いので、繰り返しの手術が必要になることもあります。


 ファミリー動物病院 
 千葉県流山市鰭ヶ崎4-10
 http://www.family-ah.com


猫の門脈体循環シャント

門脈体循環シャント(猫)

先天的な血管異常により、本来肝臓を経由して全身にめぐる血液が、異常血管の存在により肝臓を経由せずに全身にめぐってしまうことにより発現する病態。
本来肝臓が解毒する毒物が全身にめぐることによる中毒症状や、肝臓の血液循環が阻害されることによる肝機能障害などによって、様々な症状を呈します。

この病気は比較的犬に多く、猫では少ないです。

治療はごく単純、通常1本存在する異常血管を縛るだけです。
が、これが大変。
血管は様々な部位にあり、また縛ることによって血液循環が変化するため、術中あるいは術後の合併症にかなり注意しなければいけない病気です。



まずは術前のCT撮影
これによって異常血管の存在を確認=門脈体循環シャントの確定診断を行ない、
また、手術計画を練ります。
この子は左結腸静脈が、左腎静脈を介して大静脈に合流する、まれなタイプの門脈シャントでした。



で、おなかを開けて、予定通りのところにシャント血管を確認。
真ん中の太いのが異常血管(シャント血管)です。






次に門脈圧測定
これがこの手術の肝です。
シャント血管を縛ると、今まで肝臓に行かなかった血が全て肝臓に向かいます。
その結果、門脈(肝臓に向かう血液)の血圧が上昇し、一定以上上昇すると様々な合併症を呈します。
ですので、必ず門脈の血圧を測定し、過剰に血圧が上がってしまわないか、確認してシャント血管の結紮方法を決定します。




この子はシャント血管の結紮前の門脈圧が7mmHg、仮結紮後が12mmHg
1回の手術で完全結紮が可能な門脈圧です。




で、血管を結紮して手術終了。




終わったの?
終わったよ!!!


 ファミリー動物病院 
 千葉県流山市鰭ヶ崎4-10
 
http://www.family-ah.com




腸閉塞(ひも状異物)

ひも状異物による腸閉塞。
人間の病院でもこの手術あるのでしょうか?
動物病院では多い手術です。

腸はうねうねと運動して、食物を消化しながら出口(直腸・肛門)の方に流していきます。
が、長いひも状のものだと、流そうと運動するのですがうまく流れず、逆に腸がひもをさかのぼって行って、ひもに腸が絡んだようになり、腸閉塞となります。

単純な異物が腸に詰まるよりも、腸の損傷は重篤になります。




こんな感じで腸が絡まったようになります。
本来うすピンクの腸が、真っ赤になっています。


一か所切って引っ張っても、全部は取り出せません。
複数個所の腸を切開し、ひも全部を取り出します。

腸管の手術を行った後は2日間絶食、5日間は食事制限
手術後具合がよくなった動物たちは、物ほしそ〜に他の子たちのご飯を眺めています。




胆嚢粘液嚢腫

胆嚢粘液嚢腫
胆嚢壁からのムチン異常分泌により、胆嚢内に粘度の高い粘液が貯留し、
胆嚢拡張・胆管閉塞・胆嚢破裂と、重篤度の高い病態に進みます。

診断に悩むことも多い疾患です。
この疾患、昔はこんなに見なかった気がするのですが、最近はムチャ多いです。

治療は胆嚢摘出。
胆嚢が破裂していない状態であれば、手術は簡単。
救命率も高いですが、
胆嚢が破裂している状態だと、周辺組織の癒着が激しく、手術の難易度がやや上がります。


パンパンに膨れた胆嚢を、周辺の肝臓組織から剥離。
破裂してない場合は簡単。
破裂していると・・・結構大変なことがある。


中を開けると、黒緑色のゼリー状の塊が。
「ご飯ですよ」にしか見えません。
これを胆嚢内から、滅菌したスプーンで取り出します。右手に持ってるのはスプーンです。
キャビアにも見えるかな?


取り出した内容物。

破裂すると手術が大変になるんで、早めに診断して治療に入りましょう。


腸閉塞(腸内異物)

本日は腸内異物による腸閉塞の手術が2件。
同じ家のラブラドールとゴールデンレトリバーです。
二人とも、庭の石ころを食べて詰まっていました、取り合いでもしたのでしょうか?


膨らんでいる所に石が詰まっています。


石が通過した跡には・・・、重篤な内出血の跡が・・・。
術後の腸壊死に伴う腸穿孔に要注意です。


んで、取り出した石ころ。
なんでレトリバーはこんなの食べるのでしょうか?